はじめに
IB生が教科を問わず必ず気にするのが「結局何%取ればグレード7なのか」という点です。
「過去問で7割解けたけど、これって高いグレード取れてるの?」「HLとSL、どっちが難しいバウンダリーなんだろう。」
こういう疑問を持つ人は多いはずです。結論から言うと、Grade Boundaryは試験ごとに変化するので、7を取るのに必要なパーセンテージは決まっていません。ですが、科目ごとに傾向があるので、それを元に戦略を立てていくべきです。
この記事では、過去5年分のMath AA SL/HLのグレードバウンダリーを実際の数値で紹介しながら、得点率をどう目標設定に落とし込めばいいかを解説します。
タイムゾーンについて
グレードバウンダリーを見る前に、IB試験のタイムゾーン区分を押さえておきましょう。
IBの試験は世界各地で行われるため、時差を考慮していくつかのゾーンに分かれています。 ・Zone A(TZ1)=南北アメリカ ・Zone B(TZ2)=ヨーロッパ・アフリカ・中東 ・Zone C(TZ3)=アジア太平洋
日本はアジア太平洋に位置するため、2022年までの2ゾーン制ではTZ2、2023年5月に導入された3ゾーン制ではZone C(TZ3)に該当します。
同じ科目・同じセッションでも、ゾーンによってバウンダリーが異なることがあります。ネット上のバウンダリー情報を見るときは、どのゾーンのデータかを確認してから参照するようにしてください。この記事では、日本の受験生に該当するTZ2・TZ3を中心にデータを紹介します。
Math AA SL 総合グレードバウンダリー(過去5年)
各グレードのLower Boundary(%)を示しています。

Math AA HL 総合グレードバウンダリー(過去5年)
各グレードのLower Boundary(%)を示しています。

このデータからわかること
① グレード7のラインは概ね75〜80%に定着している
2021年はコロナ特例で63〜72%と低めでしたが、2023年以降は日本該当ゾーンでSL・HLとも75〜80%前後で安定しています。
② 11月セッションは5月より高い傾向
SLの11月は近年グレード7=80%が定着しています。11月受験を考えている人は、5月より厳しめの基準になることを念頭に置いてください。
③ SLとHLの厳しさは年度によって逆転する
「HLの方が甘い」というイメージを持たれがちですが、2023年5月はSL(75%)よりHL(70%)の方が低く、2025年5月はSL(77%)よりHL(76%)とほぼ同水準でした。年度ごとに変わるので、どちらかが常に楽ということはありません。
④ 2025年5月は難化した回だった
2025年5月のMath AA/AIは、世界中で26,000人以上が署名する嘆願書が出されるほど「例外的に難しい」と評された回でした。実際、この回のバウンダリーはSL・HLとも例年よりやや低めに設定されています。過去問演習でこの回だけ極端に低い点数が出ても、必要以上に落ち込む必要はありません。
Component別バウンダリー(2025年5月 TZ3 日本該当ゾーン)
まず前提として、総合スコアはPaper・IAの得点をそのまま足すのではなく、以下の重み付けで計算されます。
Math AA SL
Paper1 40% + Paper2 40% + IA 20%
(Paper3はHLのみで、SLには存在しません)
Math AA HL
Paper1 30% + Paper2 30% + Paper3 20% + IA 20%
つまり「Paper1で62%取れたから総合も62%」というような単純な%比較はできません。各コンポーネントの得点を満点で割って重みをかけ、合計したものが総合スコアになります。
その上で、G6とG7のraw markバウンダリーを見てみましょう(日本該当ゾーンのTZ3)。
SL compound別のバウンダリー

HL compound別のバウンダリー
SLのCompound別バウンダリーは以下のようになっています。

IAは20点満点と配点は小さく見えますが、重みは総合の20%を占めます。Paper対策と同じくらいの比重でIAの完成度を上げることが、グレードを1段階押し上げる近道になります。
得点率ロードマップとしての使い方
これらの数字を、日々の演習にどう落とし込むか。ポイントは3つです。
1. 目標は「ちょうどのライン」ではなく数点上を狙う
本番は難化・易化どちらもあり得ます。G7ラインが77%の年もあれば65%の年もありました。過去問演習では、目標ラインより5点前後上を安定して取れる状態を目指してください。
2. IAを最優先で仕上げる
Paper1・Paper2は本番までコンディションで変動しますが、IAは提出前に何度でも見直せる部分です。IAで20点中18点前後(G7ライン)を早めに確保しておくと、Paperでの多少のブレを吸収できます。
3. 受験セッションで基準が変わることを前提に演習する
11月受験ならG7ラインは5月より高めに出る傾向があります。同じ「7割取れた」でも、セッションによって意味が違うことを意識してください。
まとめ
Math AA SL/HLのグレードバウンダリーは、コロナ特例だった2021年を除けば、ここ数年は概ね75〜80%(G7)というラインで安定しています。ただし年度・セッション・SL/HLの組み合わせで数ポイントの変動があるため、「何%取れば安全圏か」を固定で考えるのではなく、目標より少し余裕を持たせた演習計画を立てることが大切です。
次回の演習では、Paper別・IA別に自分の得点率を出してみて、どこがボトルネックになっているかを確認してみてください。
出典
・グレードバウンダリー各数値: IBO公式グレードバウンダリー文書(コーディネーター向けPRC配布資料)の転記 (Scribd「May 2025 Grade Boundaries Math」など)
・Component別の重み付け/Boundary: IB Mathematics: Analysis and Approaches 公式Subject Brief
・総合スコアの算出方法: IBO「IB assessment principles and practices: A guide to assessment for teachers and coordinators」 ・2025年5月の難化・嘆願書に関する情報: WhichSchoolAdvisor報道