はじめに
IB Math AIのIAで最初につまずくのがResearch Questionの設定です。「テーマは決まったけれど、Research Questionがうまく書けない。」
「この問いで本当に評価されるのだろうか。」
このように感じる生徒は多いです。
IAではResearch Questionが研究全体の土台になります。どれだけ丁寧に数式処理やモデリングを行っても、Research Questionが曖昧では高評価は狙えません。
この記事では、実際のResearch Questionのサンプルを紹介しながら、評価されるResearch Questionの共通点を解説します。
高評価のMath AI IA Research Question例
統計・データ分析に関するテーマ
- 2017年から2023年におけるビットコインの価格変動は、取引量とどのような関係があるか。
- ボルティオキセチンの血中濃度が定常状態に達するまでの時間は、どのようにモデル化できるか。
- 就学年数と一人当たりGDPの間にはどの程度の相関があり、この関係から世界の経済発展についてどのような示唆が得られるか。
- 音楽のジャンルは、タイピング速度(Words Per Minute)にどのような影響を与えるか。
- 指数関数モデルを用いて心拍数の回復をどの程度正確に予測できるか。また、そのモデルからどのような考察が得られるか。
- ケニアの所得格差は、ローレンツ曲線・対数正規分布・パレート分布を用いてどのようにモデル化できるか。
- 5km走のタイムは、重回帰分析によってどの程度予測できるか。
- インターネット利用率と動画配信サービス(Netflix Malaysia・Astro)の普及率にはどのような関係があるか。
- 学校のスポーツ大会におけるテニスの試合結果は、統計モデルを用いてどの程度予測できるか。
最適化・モデリングに関するテーマ
- 価格は、売上を最大化するためにどのように最適化できるか。
- 湖(チチカカ湖)の表面積と体積にはどのような数学的関係があるか。
- コインで満たされた花瓶の価値は、どのような数学モデルで表せるか。
- 細菌の増殖は、温度によってどのように変化し、数学モデルによってどの程度表現できるか。
グラフ理論・離散数学に関するテーマ
- マックス・フェルスタッペンは、F1サーキットのコーナーでシャルル・ルクレールより速いと言えるか。
- グラフ理論を用いて、セント・マーチン島中央部から大学寮を経由する最短観光ルートをどのように求められるか。
- グラフ理論と最適化アルゴリズムを用いて、ポンティアナックとバンカ島間の往復航空ルートをどのように最適化できるか。
確率・ゲーム理論に関するテーマ
- UNO(10枚・2色・ワイルドカード2枚)を簡略化したルールでは、カードの出し方の戦略は勝率にどのような影響を与えるか。
- Mobile Legends: Bang Bang Professional League Malaysia(MPL MY)Season 14の優勝・準優勝チームは、どの程度予測できるか。
幾何・証明に関するテーマ
- 凸19角形を2色で塗り分けたとき、任意の3頂点の重心が常に同じ色の頂点を持つことを証明できるか。
数学の応用に関するテーマ
- 行列や微分方程式などの数学的手法は、化学反応式の平衡や反応速度のモデル化にどのように応用できるか。
- クラリネットのベル(開口部)を指数関数型にすると、音質は向上するか。
- バレーボールのレシーブフォーメーションでは、どの配置が最も広い守備範囲と高い守備効率を実現できるか。
Math AIのRQの特徴
Math AI(Applications and Interpretation)のIAでは、その名前のとおり、数学を実社会へ応用することが重視されます。そのため、統計、確率、モデリング、グラフ理論、最適化といった分野を扱う探究が多く見られます。
特に、「数学的なモデルは実社会をどの程度正確に表現できるのか」「モデルと実測値の間に生じる誤差は何に起因するのか」「そのモデルにはどのような限界があるのか」といった視点は、多くのMath AI IAに共通する考え方です。
単に計算を行うだけではなく、数学を現実世界のデータや現象の分析・予測に活用し、その妥当性を評価することが高く評価されます。
一方で、積分や高度な幾何学、証明を中心としたテーマは、一般的にMath AA(Analysis and Approaches)の学習内容と重なる部分が多くなります。Math AIでは学ばないものの、AAでは扱う項目などを選択してしまうと、発展が見られないということでUse of Mathmaticsの評価が低くなりがちです。
そのため、無理にAA寄りのテーマを選ぶよりも、統計やモデリングなどMath AIらしい内容を扱う方が、科目の強みを生かしやすく、おすすめです。
良いResearch Questionの共通点
① 数学的手法が明確「ロジスティック関数」「カイ二乗検定」「行列変換」のように、どの数学的ツールを使うのかが一目で分かります。
② 対象となるデータや現象が具体的
使用するデータの種類、測定回数、期間などが明記され、研究対象が限定されています。
③ 評価の指標が示されている
「どの程度正確に予測できるか」「どのような影響を与えるか」のように、モデルの妥当性や関係性を検証する視点が含まれています。
④ 独立変数・パラメータの範囲が示されている
高評価のIAでは、試行回数やデータ範囲、次数などが具体的に示されています。これは検証可能性を高め、適切な数学的処理につながる点で評価されやすいです。
以上を踏まえると、良いResearch Questionとは「どの数学的手法を、何のデータに、どう適用し、何を検証するのかを一文で表したもの」と考えると良いでしょう。
Research Questionを作るときのチェックリスト
自分のResearch Questionを見直す際は、次の5項目を確認してください。・使用する数学的手法(関数・統計手法・行列など)が明確か
・対象となるデータや現象が具体的か
・検証したい関係性や精度が明示されているか
・パラメータやデータ範囲が具体的に示されているか
・自分の数学的知識と入手可能なデータで実際に取り組める内容か
この5つを満たしていれば、Research Questionとしての完成度は大きく高まります。
まとめ
Research Questionは、Math AI IA全体の方向性を決める最も重要な要素の一つです。高評価を得ているIAを見てみると、「数学的手法・対象データ・検証の視点・パラメータ範囲」が明確に定義されているという共通点があります。今回紹介したサンプルを参考にしながら、自分の興味や得意分野に合わせて、具体的で検証可能なResearch Questionへとブラッシュアップしてみてください。良いResearch Questionができれば、その後の数学的処理や考察も組み立てやすくなり、高評価への第一歩となるはずです。