Predicted Gradeとは何か、なぜ重要か
Predicted Grade(予測点、PG)は、最終試験の前に学校の教科担当教員が算出する「この生徒は最終的にこの評価を取るだろう」という見込みの成績です。
これが重要なのは、海外大学の出願時点では最終スコアがまだ存在しないからです。イギリスのUCAS、その他多くの国の大学出願では、このPredicted Gradeをもとに条件付きオファー(Conditional Offer)が出されます。つまり、PGが低ければ、そもそも志望校に出願する土俵に立てない、あるいはオファー自体が出ないという事態が起こり得ます。
「最終試験で挽回すればいい」という考えは、海外大学出願においては通用しません。最終スコアが出る頃には、出願プロセスの大部分が終わっているためです。
PGはどう決まるのか
PGの算出方法は学校ごとに異なりますが、一般的には以下が総合的に判断されます。
- Mock Exam(模擬試験)の結果
- 日々の授業内テスト・小テストの成績
- 課題・宿題の提出状況と質
- IAのドラフトの完成度
- 授業への取り組み姿勢
つまり一発勝負ではなく、日常の積み重ねが反映される仕組みです。ここを理解していない生徒は、「Mockで挽回しよう」と考えて日常の課題を軽視し、結果としてPGを下げてしまいます。
理系科目でPGを上げるための具体策
1. Mock Examを「本番のリハーサル」として扱う
多くの生徒がMockを軽視しますが、PG算出における比重は非常に大きい要素です。Mockに向けて、本番と同じ条件(時間制限、電卓の有無、参考資料なし)で準備することが、そのままPGに直結します。
理系科目では特に、Mockの直前1〜2週間の詰め込みでは対応しきれません。Physics、Chemistry、Biologyはいずれも範囲が広く、Mathも単元の融合問題が出題されるため、計画的な逆算が必要です。
2. IAのドラフトを早期に高い完成度で提出する
IAは最終評価の20%を占めますが、PGの判断材料としても機能します。ドラフト提出の段階で完成度が高ければ、教員は「この生徒は最終的に高い評価を取る」と判断します。逆に、ドラフトが雑だと、その印象がPG全体に影響します。
理系科目のIAは3科目分(Physics/Chemistry/Biologyのうち履修分)+Math IAで、負荷が集中しがちです。学校の締切より前倒しでスケジュールを組むことを強く推奨します。
3. 提出物を落とさない
当たり前に聞こえますが、実際にPGを下げている原因として最も多いのがこれです。IBは科目数が多く、締切が同時期に重なります。「1つくらい遅れても」という判断の積み重ねが、教員の評価を確実に下げます。
4. 教員とのコミュニケーションを取る
PGには教員の裁量が入ります。これは不公平という意味ではなく、教員が「この生徒は伸びている最中だ」と認識しているかどうかが判断に影響するということです。
質問に行く、フィードバックを求める、改善した点を示す——こうした行動は、単に理解を深めるだけでなく、教員に成長の軌跡を見せることになります。特に日本人生徒は控えめで質問を躊躇しがちですが、IBの環境では積極性が評価されやすい傾向があります。
5. コア(TOK・EE)を落とさない
理系科目に集中するあまり、TOKやEEを後回しにする生徒は多いのですが、これらもディプロマ全体の評価に影響します。2024年5月のデータでは、コア点数の分布は0点が19.6%、1点が24.9%、2点が40.8%、3点が11.4%。約2割が0点を取っている一方、最大3点を確保できれば、合計点で明確な差になります。
家庭教師・個別指導との関係
家庭教師や個別指導は、学習内容の理解を深め、Mockでの得点を上げることには直接的に貢献できます。しかしPGを決めるのはあくまで学校の教員です。
したがって、外部の指導は「学校での評価を上げるための補強」として位置づけるのが正しい使い方です。塾で学んだことを学校の授業や課題に反映させ、教員に伝わる形にして初めて、PGという結果につながります。当塾で伴走メンタリングを行う際も、学校側の締切・課題状況を共有してもらい、そこから逆算した計画を立てるようにしています。
PGが希望より低かった場合
PGが志望校の要件に届かなかった場合、取れる選択肢はいくつかあります。
- 教員に改善計画を示し、再検討を相談する(早い時期であれば可能性がある)
- PG要件が現実的な範囲の大学を含めて出願先を再構成する
- 最終スコアが出た後の出願(イギリスのClearing制度など)を視野に入れる
いずれにせよ、早い段階で状況を把握し、進路担当や指導者と相談することが重要です。PGが出てから慌てるのではなく、Grade 11の段階から「今の取り組みがPGにつながっている」という意識を持つことが、最も確実な対策です。
時期ごとにやるべきこと
PGは一度に上げられるものではなく、いつ何をしたかの積み重ねで決まります。時期ごとの優先事項を整理します。
Grade 11の前半
この時期の成績はPGの直接の材料にはなりにくいものの、教員の中に「この生徒はこういう生徒だ」という印象が形成される時期です。授業内テストを軽視せず、提出物の期限を守るという基本を確立してください。
Grade 11の後半
IAのテーマ決定と着手の時期です。ここで動けているかどうかが、Grade 12の秋の余裕を決めます。理科のIAと数学のIAが同時期に重なると、どちらも中途半端になります。
Grade 12の前半(Mockの前後)
PGにとって最も重要な時期です。Mockは本番の予行演習として、時間・電卓条件・持ち込み可否まで本番に合わせて準備してください。Mockの結果が出たら、点数を見るだけで終わらせず、失点をトピック単位で分解して教員に相談に行きます。この行動そのものが、PGの判断にプラスに働きます。
Grade 12の秋(PG確定〜出願)
PGが出たら、志望校の要件と照らして出願先を組み直します。この段階で要件に届かない場合でも、選択肢は残っています。早めに進路担当と相談してください。
まとめ
Predicted Gradeは海外大学出願の入り口を決める重要な指標であり、Mock Examと日常の積み重ねで決まります。理系科目では、Mockの計画的な準備、IAドラフトの早期完成、提出物の管理、教員とのコミュニケーションの4点が具体的な打ち手です。最終試験での挽回を前提にせず、Grade 11から意識的に積み上げてください。
出願全体の流れはIBから理系学部へにまとめています。